京都市指定・登録文化財−天然記念物

そうけんいんのわびすけ
総見院のワビスケ
織田信長没後1年目の天正11年(1583)に総見院の建造時に植栽された木である。豊臣秀吉が千利休から譲り受けて植えたものから大きくなったとも伝えられている。また,かたわらには「豊公遺愛わびすけ」の碑が設置されている。樹高は6.4mで,東幹と西幹は地上75cmまで合着し,次いで地上110cmで東幹からさらに南幹,北幹が分離している。胸高幹周は43〜98cmある。優れた園芸品種の巨木として貴重である。
だいとくじのいぶき
大徳寺のイブキ
大徳寺の仏殿南庭にある,イブキの巨木である。仏殿が焼失し,再建された寛文5年(1665)に植えられたものである可能性が大きく,樹齢は350年ほどと考えられる。地上約3mで5つの幹に分枝し各幹ともねじれながら斜上している。樹高幹周は4.67mに達している。イブキの希に見る巨木として貴重である。
ろくおんじ(きんかくじ)のいちいがし
鹿苑寺(金閣寺)のイチイガシ
 鹿苑寺(金閣寺)境内にあるイチイガシの巨樹である。現在の境内が再建,整備された330年ほど前に植えられたものとも思われるが,通常イチイガシは境内などには植えられないものなので,自然植生と考えられ,かつて存在した極相性のカシ林の残存木とも考えられる。樹高19.5m,胸高幹周4.93mに達し,幹の基部は1mくらいまで根上りして板根(幹の支持のために,幹の基部から張り出している根)状になっている。
 イチイガシの巨木として貴重である。
ひいらぎののちりつばき
柊野のチリツバキ
 このチリツバキは個人住宅に生育しており,周囲はコケで覆われている。本来1本の樹木であるが,跡に土盛りされたため,地上では4本となっている。花は赤と白の咲き分けで,毎年4月には見事な花がつき,チリツバキの名のとおり,花弁がそれぞれ離れて散る。
 樹高は8.80m,胸高幹周は最も広い東幹で1.01m,枝葉は100?以上にわたって広がっており,京都市内はいうに及ばず,全国的に見ても有数の規模のツバキとして貴重なものである。
いわややましみょういんのいわみねしょくせい
岩屋山志明院の岩峰植生
本植生は,岩屋山志明院の境内南側,岩屋山に続く尾根上のチャートを基岩とした薄い表土壌に育成している自然植生である。周辺は,貧栄養の土壌でも育成できるヒノキ,ゴヨウマツ,ホンシャクナゲ,ヒカゲツツジなどの植物で構成されている。特にホンシャクナゲは低木のかなりの部分を占めており,その低木林となっている部分もみられる。本植生は,貧栄養の土壌という限られた条件でしか成立しないだけでなく,今もなお自然の状態が保たれ,更新していく点で重要である。
てんねいじのかや
天寧寺のカヤ
本堂南西にあるカヤは,樹高は14m,胸高幹周は4.78mある。主幹は,右廻りにねじれながら直上し,地上5〜7m,同9m,さらに同12〜14m付近で枝を出している。独立木であるため,樹冠は南北方向18m,東西方向17mに及び,樹勢もまずまず旺盛である。主幹北側の地際から地上6mにかけての傷痕は,天明8年(1788)の大火で本堂が類焼した時に受けた損傷といわれている。樹齢や植栽されたものかどうかなどは不明であるが,カヤとして市内有数の大木であり,貴重である。
しらみねじんぐうのおがたまのき
白峯神宮のオガタマノキ
樹齢は数百年と考えられ,この地が蹴鞠の家元であった飛鳥井家の邸宅であった時代の植栽と見られる。樹高は15.7m,主幹は,地際付近で,ほぼ直上する北幹と大きく南へ斜上する南幹に分かれ,胸高幹周は南幹で2.42m,北幹で2.51mに達する。主幹基部から伸びた根は,盛り上がるように主幹を取り巻き,老齢の観を呈しているが,樹勢は旺盛である。オガタマノキは,社寺境内によく植えられる樹木で,社寺の多い市内においても,この木が最大であり,貴重である。
こちだにのかえで
古知谷のカエデ
古知谷にはカエデが多く,紅葉の名所の一つである。なかでもこの木は,幹に多数の支根がからみつく異様な形状を示し,樹高19.2m,胸高幹周3.70mに達し,古知谷でも最大で最古の個体と考えられる。慶弔14年(1609)の阿弥陀寺の創建時にはすでに大木であったと伝えられ,白蛇が棲んでいるとの伝承もある。タカオカエデの希に見える巨樹として貴重である。
はなせのてんねんふくじょうだいすぎ
花脊の天然伏状台杉
アシウスギ(ダイスギ)は本来,日本海側の深雪地帯に多く生育している種類である。この木は,花脊・鍋谷山の支稜部を中心に存在する大きな伏状台杉群の中の最大規模の個体で,樹高20m,胸高幹周18.35mに達する。根際近くから枝が何本も分岐する巨大な台杉であり,それぞれの枝が支幹と入れ替わるので,樹勢が衰えない。希な天然巨木として貴重である。
ゆきじんじゃのすぎおよびかごのき
由岐神社の杉及びカゴノキ
由岐神社境内にあるスギ3本及びカゴノキ1本は,重要文化財の拝殿とともに歴史のある風趣を形成している。スギの中でも最大のものは樹高49.0m,胸高幹周6.42mに達し,カゴノキも樹高18.5m,胸高幹周2.45mに達する。分布北限に近いものとしては最大規模の個体である。市内では,希に見る巨木であり,貴重である。
れいかんじのじっこう
霊鑑寺の日光
「日光」は雄しべが小さな花弁状になって円形にまとまる「カラコ咲き」の園芸用品のツバキで,樹高は6.96m,地上0.4mで東幹と西幹に分かれ,幹周りは地上0.5mで東幹0.94m,西幹0.75mに達する。それぞれの幹はさらに枝分かれし,胸の高さでは,10本の大枝に分かれている。この品種は原木に準ずると考えられ,大変貴重である。
きぶねじんじゃのかつら
貴船神社のカツラ
カツラは,落葉広葉樹を構成する高木として広く分布する樹種で,個体寿命が長く,各地に大径木も多く存在する。貴船神社奥宮社殿の東北部にあるこのカツラも,その一つである。東側は貴船川に面し,西側は急斜面の山腹となっている。主幹はほぼ直上,樹高は39.0mに及び,胸高幹周は5.56m,樹冠の広がりは南北方向20m,東西方向に16mに達する。減少傾向にある自然林に自生するカツラの大木として貴重である。
てつがくのみち」のげんじぼたるおよびそのせいそくち
「哲学の道」のゲンジボタル及びその生息地
疎水分線の若王子橋から銀閣寺橋に至る「哲学の道」(約1.5km)周辺では,毎年5月下旬から6月にかけて,ゲンジボタルが数多く見られる。良好な自然環境の指標ともなっているゲンジボタルが市街地に接する場所に接する場所に生息していることは,大変意義深く,貴重なものである。
はなせのだいすぎ
花脊のダイスギ
花脊は,古くから木材,特にスギの産地として知られ,山に依拠した活発な生産活動を展開していた地域である。そうした中で,かつては所々に見られていた天然のダイスギも数少なくなり,植林地の中に点在するこの5本のダイスギの巨木は,ひときわ目立つ存在になっている。また,ダイスギ,ウラスギ,またはアシウスギと呼ばれる日本海側型のスギの特徴が見られ,植物地理学上も,貴重なものである。
くたのだいすぎ
久多の大杉
大川社は久多中ノ町,久多川右岸に位置し,この大杉は,境内東側に立つ。主幹は,傾斜しながら直上し,幹の下部から上部まで密に枝をつけ,地上5〜13mの位置には,太さ50cmを越す大枝が出ている。幹の南側では,この木に接する胸高幹周約50cmのスギを巻き込んでいる。地域の人々と親密な関係にある大木としても貴重なものである。
ほうせんいんのごよまつ
宝泉院のゴヨウマツ
このゴヨウマツは,宝泉院本堂の庭園の南側に生息する。樹高は11m,枝張りは南北11.5m,東西14mで,樹冠は,ほぼ扇形である。根回りは425cmで,地表部と,高さ1m程の部分で幹が分かれる。3本の幹のうち,中央が最も大きく,樹冠の大部分を占める。樹勢も旺盛であり,ゴヨウマツの大木として貴重なものである。
たけのぶいなりじんじゃのえのき
武信稲荷神社のエノキ
このエノキは,武信稲荷神社本殿の南に神木として祀られており,平安時代に平重盛が安芸の宮島の厳島神社から苗木を移して植えたという伝承が伝えられる。樹高22.5m,胸高幹周3.54mという数値は,エノキとしては最大規模ではないが,人家が密集する市街地に残された数少ない大木として市民に親しまれ,その価値は高く評価される。
いまくまのじんじゃのおおくす
新熊野神社の大樟
新熊野神社境内の盛土上に生育しているクスノキで,後白河上皇お手植で樹齢800余年との伝承もあるが,応仁の乱で荒廃した後のものとも考えられる。樹高は21.9m,胸高幹周は6.58mに達し,栽培の北限に近いにもかかわらず,樹勢はきわめて旺盛である。樹冠は東西方向23.5m,南北方向35mもの広がりを持っており,市街地に植えられた中では傑出した巨樹であり,貴重である。
ちおんいんのむくろじ
知恩院のムクロジ
知恩院の旧築地上に生育しているムクロジの巨樹である。果皮が洗濯に,種子が念珠に用いられる等,利用価値が高い。築地が造成された江戸時代初期の植栽と考えられる。樹高は20.0m,胸高幹周は4.13mに達し,主幹は直上して,大枝が地上5mで北側に,同7mで南側に斜上している。この種は暖帯性で,分布の北限に近い市内では,これほどの大木になることは希であり,貴重である。
とうふくじのいぶき
東福寺のイブキ
東福寺は,九条道家が嘉禎2年(1236)に創建した古刹で,開山には聖一国師(円八爾弁円)が迎えられた。この木は,国宝の三門と仏殿との間,西寄りにある。高さ16.5m,胸高幹周3.36m,枝張りは東西10.5m,南北に8mある。江戸時代には既に古樹として知られ,開山国師とのゆかりも深いこのイブキは,東福寺の歴史と文化を理解するうえには欠かせないものとして貴重である。
しょうれんいんのくすのき
青蓮院のクスノキ
クスノキは,青蓮院境内の西側,神宮道に面した築地の上と,築地に隣接した境内の庭園内とに計5本が生息している。樹高は大きいもので21.6mに達し,いずれも幹の途中から大枝を四方に伸ばし,クスノキに特徴的な半球形のこんもりとした樹冠を形成し,樹勢も良好である。これらのクスノキについては,12世紀末に親鸞上人によって植えられたものとも伝えられているが,青蓮院が現地に移転したのが13世紀以降であること,またクスノキが現在の境内の地割に沿って生育していることから,それ以降に植栽されたものと考えられる。
ほんがんじ(にしほんがんじ)のいちょう
本願寺(西本願寺)のイチョウ
このイチョウは,西本願寺の堂宇の中心をなす御影堂の正面やや北にあり,御影堂建立時の植栽とすれば,樹齢は330年以上になる。地上高1.5〜3m付近から各方向へ太い水平枝ないし斜上枝を出す形状は,イチョウとしては特異であり,植栽時から剪定等,行き届いた管理がなされていたものと思われる。長年,民衆の信仰の中で親しまれてきた古木として貴重である。
つきのわでらのほんしゃくなげ
月輪寺のホンシャクナゲ
このホンシャクナゲは,愛宕山中の月輪寺境内の斜面上に育成し,根元で幹が分岐し,株立ちしている。枝は密に混じりあい,一連の樹冠を形成しており,およそ10m×8mの範囲に広がっている。樹高はいずれも4m前後,根元幹周は最大で46cmある。場所柄,貧栄養の土壌で育成環境が制限されていながら,生育状態も良好で,大きな樹冠を形成しており,貴重である。
はくさんじんじゃのかし
白山神社のカシ
このツクバネガシは,白山神社社殿裏側にある小高い古墳様の丘にそびえる。日本に分かれた根元は幹周7.9m,樹高18mの巨樹である。この木は根元が空洞になっており,昔はそこに白山神社の使いである片目のヘビが住んでいたと伝えられている。
ふくとくじのさくら
福徳寺のサクラ
胸高幹周は2.72m,樹高10mの古木である。「かすみさくら」の愛称で親しまれているこの桜は,一重のヒガンシダレであり,慶長19年(1614)に移植され,古くから福徳寺のシンボル的な存在となっている。
はちまんぐうのすぎ
八幡宮のスギ
胸高幹周は5.8m,樹高32mの古木である。上中の八幡宮社の神木とされていて,参道が走る京北第三小学校にある。そのために,小学校の大スギとして学校のシンボルとなっていて,旧弓削小学校の校歌にもうたわれている。また,大杉塾のように大杉を名称としている団体もあり,弓削地区の象徴の一つとなっている。
しょうほうじのかや
正法寺のカヤ
胸高幹周は4.3m,樹高21mの古木である。正法寺境内隅にあり,そあの力強い根張りは石垣を若干変形させている。このカヤは正法寺が創建された明応4年(1494)当時のものといわれている。カヤとしては旧京北町域で最大である。
じげんじのいちょう
慈眼寺のイチョウ
胸高幹周は3.8m,樹高30mの大木である。慈眼寺裏山にあり,秋には美しい紅葉が周山地域の自然を一段と引き立て,撮影に訪れるカメラマンも多い。また,雌木であるの銀杏が多く採取され,近隣から拾いにくる人も多い。
ひよしじんじゃのけやき
日吉神社のケヤキ
胸高幹周は4.3m,樹高21mの古木である。矢代の日吉神社の裏山にあり,岩の上に太い根を張って社殿を覆うように立つ姿は,威圧感すら感じさせる。このケヤキは日吉神社創建当時のものといわれていて,推定樹齢800年である。
かたなみにしたにのとち
片波西谷のトチ
片波西谷林道の終点に所在していて,胸高幹周は0.78m,樹高15mである。地上より約2mのところから幹が二分している。3m付近の地点で直径約40?の枝が折れたらしく,地上にその枝が半ば腐敗して残存している。樹齢は正確には不明であるが,数百年を経ているものと思われる。枝分かれ部分の窪みに雑木やヒノキの寄生がみられる。樹底部に直径2mの空洞がある。
まつおたいしゃのかぎかずらやせいち
松尾大社のカギカズラ野生地
松尾大社本殿裏の社叢は,京都市内周辺の極相林と考えられる照葉樹林で,社叢内の沢筋を中心として,野生している。この種が分布するのは,亜熱帯から暖温帯にかけてであり,代表的な南方系植物といえる。日本では九州,四国,中国南部,近畿南部のほか千葉県下にも分布が見られるが,気象条件から,この植生が分布の北限と考えられ,植物地理学上,価値が高い。
きんさつぐうのくろがねもち
金札宮のクロガネモチ
金札宮は,伏見区の中心部にあり,区内で最も古い神社の一つである。境内の中央部,2m四方の石柱囲柵の中に,このクロガネモチがある。樹高は10.6m,胸高幹周は2.19mで,この種としては大きなものである。クロガネモチは雌雄異株であるが,これは雌木で,冬季には枝先に見事な赤い実を多くつける。秀麗な樹形をもち,樹勢も旺盛な巨木として貴重なものである。
ごこうぐうじんじゃのそてつ
御香宮神社のソテツ
 御香宮神社本殿前のソテツは,西側の雌株は,分けつした幹が密生して株を形成し,旺盛な樹勢を示している。幹数は10で最大の幹は樹高3.50m,胸高幹周は1.375mに達する。
 一方,東側の雄株は,最大の幹は樹高1.80m胸高幹周0.82mと,西側の雌株に比べてかなり小さい。本来南方系であるソテツの大木が四季を通じて繁茂する様子は,洛南の古社御香宮神社を象徴する景観となっており,貴重なものである。
こんごうおういん(いちごんじ)のやまもも
金剛王院(一言寺)のヤマモモ
このヤマモモは,醍醐寺の境外塔頭である金剛王院の参道石段頂上にある門のすぐ南に位置する。胸高幹周3.28m,樹高9.20mあり,直径10mの円形の樹冠を形成している。国指定史跡醍醐寺境内の一部である金剛王院境内の古木として,また,食べられる実のなる木として周辺の人々に親しまれ,地域文化財的な価値は高い。
みなみいしがめ
ミナミイシガメ
沼ガメでありながら陸生的傾向をしめすところが,このカメの一つの特徴である。体長は16cmほど,体重400〜700gになる。夜行性で日中は水田の泥の中にもぐり,日没後に活動する。京都盆地では標高100〜400m前後で,林,竹林が隣接している水田や湿地帯に生息する。京都盆地内に棲息している特異な分布を示す動物として貴重である。


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