はじめに
本日は, 平成18年度最初の記者会見でございますので,年度当初に当たっての私の所感を簡潔に申し上げたのち,皆様に2点お知らせしたいことがございます。
1点目は,「新たな景観施策の展開」についてであります。
2点目は,「宝が池公園「新・こどもの楽園」整備」についてでございます。
年度当初の所感
平成18年度は,京都市長としての10年が過ぎ,3期目の折り返しとなる重要な年でございます。
就任以来,私が最も重視してまいりました「市民の皆様とのパートナーシップ」と「改革の意欲にあふれ,進取の気風みなぎる市役所」を今一度基本に置きながら,明るさが見えてきた景気回復の足取りを確かなものとし,市民生活の安心・安全をしっかりと支えてまいる考えでございます。
昨今,景気動向指数の上昇や入洛観光客の増加,折からの京都ブームなどからも伺えるように,京都には着実に明るさ,活気が戻ってまいりました。
しかし,戦後,とりわけ高度成長期以降の都市開発や経済発展の波の中で京町家や三山の眺望といった京都らしい景観が,多くの人々の懸命な努力にもかかわらず,変容しつつあるばかりか,それらと一体となった文化や1200年の歴史に彩られた伝統が次第に失われてきています。まちなかには自動車が溢れ,ゆったりと歩いて散策し,楽しく買い物ができる空間には程遠い状況も生まれています。
また,大量生産・大量消費型のライフスタイルは,年間約70万トン,西京極球場13杯分に相当し,経費にして1日1億円にも及ぶごみの大量処分と二酸化炭素など温室効果ガスの大量排出をもたらし,環境共生型都市を目指す京都市にとって大きな課題となっております。
京都には,節度ある日本人の生活文化・精神文化が今も息づいてはいますが,ただいま申し上げたような様々な問題をこれ以上放置しておけば,これまでに培われてきた日本文化・日本人の心の拠り所となる京都の古き良きもの・伝統的なものが淘汰され,京都が京都でなくなってしまうという強い危機感を抱いております。このため,市民の皆様と議論をしっかりと交わしながら,50年後100年後を見据え,日本人の心のふるさとである京都の創生を積極的に推し進めてまいる決意でございます。
同時に,真に地方の時代にふさわしい個性豊かで魅力あふれるまちづくりを進めることが求められる中,スピード感と厳しい経営感覚をもった市政運営が必要であり,市民参加と情報公開を基底におきながら,立ち止まることない改革への挑戦,全国でもトップレベルの行財政改革を不退転の決意で引き続き断行してまいります。
4月1日付けで上原任副市長を新たに登用し,併せて京都創生や交通政策の推進,循環型社会の構築などの重要政策を推進するための体制を整えました。
こうした新鮮かつ磐石な執行体制のもと,私が先頭に立ち,全職員が一丸となって,山田啓二京都府知事との府市協調を強固なものにしながら,私がマニフェストでお約束した政策を着実に推進する一方,直面する課題に果敢に挑戦し,将来の京都の発展に弾みをつけたいと決意を新たにいたしております。
1 新たな景観施策の展開について
さて,「新たな景観施策の展開について」でございます。
去る3月27日に,「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の西島安則会長からお受けいたしました『中間取りまとめ』は,5つの基本方針からなる新たなビジョンと,緊急に講じるべき景観施策が示されたものであり,京都が,まさに世界に冠たる「歴史都市・京都」として更に発展していくために必要な基本的方向性をお示しいただいたものと受け止めております。
この『中間取りまとめ』を速やかに具体的施策に移すため,私が,担当部局に指示を出しました主要な内容について,御報告いたします。
1点目は,「建築物の高さ規制の見直し」についてでございます。
建築物の高さは,言うまでもなく,都市全体の景観形成に大きな影響を及ぼすものであり,三方の山並みへの眺めや京町家など歴史的建造物,世界遺産等との調和を図ることが極めて重要であります。更に,個々の地域がそれぞれの固有の景観上の特徴を呈する京都では,地域の景観特性に応じたきめ細やかな規制・誘導が不可欠でございます。
こうしたことを踏まえ,早急に市街化区域全域で高さ規制の見直しに着手し,18年度中に都市計画の手続きを終え,19年度の早い段階で,新たな規制を適用してまいりたいと考えております。
具体的には,中間取りまとめで,歴史的都心地区と位置づけられた幹線道路沿道地区,いわゆる「田の字地区」は現行の45mから31mに,そして,職住共存地区は,京町家を中心とする歴史的建造物に調和し,風情ある歴史的町並みを形成するための高さとして,31mから15mに引き下げるという非常に思い切った規制に転換してまいります。
一方,こうした規制は一律に適用するのではなく,地域の景観の向上に貢献するとみられる建築物や,景観に十分な配慮がなされた学校や病院の公共・公益性の高い建物などについては,そのデザイン,機能等に着目して,一定の範囲で高さの限度を超えることを認める,本市独自の新たな景観誘導型の許可制度を導入してまいります。運用に当たっては,公平性,透明性を確保するため,専門家に参加していただく第三者機関に一定の審査権限を与えることや,建築主等による周辺住民等への説明を義務付けるなど,市民の皆様とともに良好な景観の創出を図る仕組みを構築する考えでございます。
2点目は,「建築物のデザインについての取組」でございます。現行の美観地区などにおいては,地域の規制・誘導を行うデザイン基準が抽象的になっているため,今後は,地域特性に応じた明確な基準を策定していくことが必要であり,先行的に,「歴史的都心地区にふさわしい中高層建築物のデザイン」を策定するためのデザイン募集をいたします。
歴史的都心地区は,京町家などの歴史的な建造物が数多く存在する,まさに歴史都市・京都の景観を代表する地区の一つであります。このような地区で建築される中高層建築物については,京町家などと調和して風情ある景観を形づくる形態,意匠,色彩などに誘導していくための基準,いうなれば,「新・京(みやこ)デザイン」ともいうべきものを確立してまいります。
そのため,7月を目途に,広く国内外から歴史的都心地区における中高層建築物のデザイン提案を募集し,これらの提案を参考に,18年度中に,歴史都市・京都にふさわしい中高層建築物のデザイン基準を策定し,誘導基準に加えて,高さの限度を超えることを認める際の許可基準としても活用してまいります。木造建築物と調和する中高層建築物のデザイン基準の策定は,世界の歴史都市の中でも類を見ない画期的な取組になるものと考えております。
デザインについての2つ目の取組は,「美観地区におけるデザイン基準の見直し」についてであります。
美観地区については,規制の厳しいものから緩やかなものへ,5種類の「種別」を設けて規制を行っておりますが,よりきめ細やかな規制・誘導を行っていくため,地区ごとの景観特性に応じた「地区別」の規制へと転換してまいります。
例えば,現在,「岡崎の琵琶湖疏水の周辺」と「祇園町」は,町並みや風情が大きく異なるにもかかわらず,同じ種別の美観地区を指定しているため,意匠,色彩等に同じ基準が適用されているのが現状であります。今後は,それぞれの地区の特性に応じた「地区別」のきめ細やかなデザイン基準を設けてまいります。
また,併せて景観上の配慮が求められる地区や幹線道路沿道などに美観地区を拡大し,町並みの保全や再生,優れた景観の創出に,より積極的に取り組んでまいります。
これらにつきましては,平成19年度からの高さ規制の見直しとあわせて実施する考えでございます。
3点目は,「屋外広告物対策の強化」についてでございます。
屋外広告物については,これまでから全国をリードする本市独自の条例に基づいて規制を行ってまいりましたが,残念ながら,繁華街などを中心に,無許可の乱雑な屋外広告物が風情ある通り景観を悪化させております。このため,すでに本年2月から屋外広告物の違反実態の調査に取り組んでおり,その結果を踏まえ,5月から,地域別の対策班を新たに編成するなど指導体制の強化を図り,四条,河原町,木屋町をモデル地域として,悪質な違反者に対しては,告発や行政代執行も視野に入れた強い姿勢で,集中的な違反指導を行ってまいります。
4点目は,「歴史的な建造物の保全・再生」でございます。京都市では,景観法に基づき,3月に全国初となる「景観重要建造物」を3軒指定いたしましたが,引き続き,今年度は60軒を目標に指定を行い,これらを地域の核に京町家まちづくりファンドによる支援とも連携し,歴史的な町並み景観の面的な再生を図る「歴史的景観再生事業」を新たに推進いたします。
また,京町家などの木造建築物の大規模修繕等を可能とする,建築基準法上の制限の一部を緩和する条例を,平成18年度中に制定してまいります。
以上,中間取りまとめを受けて展開する緊急を要する取組についてご紹介いたしました。
先に申し上げました「建築物の高さ規制」と「建築物のデザイン」につきましては,中間取りまとめで示された方針に基づき,地域ごとにその具体的な規制内容等を定め,本年の秋頃を目途に市街地の全体像をお示ししたいと考えております。更に自転車対策などにつきましても,同様に秋頃を目途に京都市案としてお示ししたいと考えております。
歴史都市・京都にふさわしい景観形成には,市民や事業者の方々の理解と協力が何よりも不可欠であります。規制には痛みを伴うことも十分認識しております。しかし,景観は公共の財産であり,この京都の優れた景観を,京都にとどまらず日本や世界の共有の財産として,後世に引き継いでいくことは,京都の都市経営に携わる者の責務でございます。そして,こうした景観づくりの取組が,ひいては,歴史都市・京都だけが持つ魅力や活力を更に引き出し,「京都創生」の実現につながるものと確信しております。大都市の市街地全体を対象として,高さとデザインの両面から規制・誘導を展開するという試みは,我が国の景観行政の先鞭となる他に前例のない取組であり,京都の景観の将来を賭けた大事業であります。市民の皆様の御理解を得ながら,全身全霊で推し進めてまいる決意でございます。
2 宝が池公園「新・子どもの楽園」整備
次に,桝本マニフェストで市民の皆さんとお約束をいたしました,子どもたちの感性を育む空・緑・ふれあい,いっぱいの遊び空間,「宝が池公園「新・子どもの楽園」整備」についてでございます。
21世紀の主人公である子どもたちが健やかに育つまちづくりを実現することは,私たち大人に課せられた使命であります。
ドイツの教育学者フレーベルは,「子どもは5歳までにその生涯に学ぶべきことを学び終える」と唱えております。これには,幼児期の子どもが「遊び」を通して,人間として成長していくために必要な多くのことを学び身につけるという意味が込められており,私自身もこの考えに大きく共感しているところであります。
とりわけ,少子化や核家族化の進行,都市環境やライフスタイルの変化はもとより,子どもたちの遊び方が大きく様変わりしている昨今,子どもたちの感性を豊かにできる「遊び」の場を今一度しっかりと確保することは,大変重要であります。
京都市には,自然豊かで,交通の便利も良い子どもたちのための遊び場として,宝が池公園「子どもの楽園」があり,昭和39年の開設以来,四季を通して年間約23万人にのぼる子どもたちや家族連れの皆様に親しまれてまいりましたが,施設の老朽化が進み,「子どもの楽園」と言うには,少し元気のない姿が目立ってまいりました。そこで,子どもたちが自然や人との関わりを持ちながら,家庭や地域では味わうことができない,思う存分伸び伸びと遊び回れる安心・安全な「遊びの拠点」を整備したいと考え,このたび,「新・子どもの楽園」整備事業は,お手元の資料のとおり,着手することといたしました。
「新・子どもの楽園」は,新設する「プレーパークゾーン」をはじめ,「遊具ゾーン」,「大広場ゾーン」の3つのゾーンから成り,加えて,150台の駐車スペースを兼ね備えた施設としてリニューアルいたします。
全く新しい機能として整備するのは,「プレーパークゾーン」で,拡張した10,000uの敷地に,核となる「ものづくりハウス」を設置し,ボランティアの皆さんの御協力を得て,遊びの指導者・プレーリーダーなどを配置いたします。子どもたちと一緒に作った手作りの道具を用いて遊ぶなど,人と自然とのふれあいを基本においた自然豊かな自由な遊び空間として運営してまいります。
また,これまでにない設備といたしましては,「遊具ゾーン」内に,噴水を備え,水遊びもできる「親水空間」や雨天時や強い日差しの下でも安心・安全に過ごせる「屋根付き広場」などを設置いたします。更には,8,200uもの芝生広場を整備することも大きな魅力であります。
整備事業につきましては,ゴールデンウィーク直後の5月8日から着手し,平成19年度末の完成を予定しておりますが,1日でも早くご利用いただけるよう,主要な整備工事の終了が見込まれる平成20年1月には,部分開園してまいる考えでございます。
全国に誇る「子育て支援都市・京都」にふさわしい「新・子どもの楽園」整備に万全を期してまいります。
私からは,以上でございます。
|