皆さんは「たんけん」と言う言葉を知っていますか。漢字で「探検」と書きます。
  検は検査の検で調べるという意味ですね。では、同じように「探険」と書けば
  どうでしょう。少し感じが変わって、危険な場所へわざわざ出かけて行くという、
  冒険するような感じの言葉になります。
   さて私たち公園探研隊の研はどういう意味なのでしょう。研は「研究」の研。
  研ぐ(とぐ)という意味もあります。石という字がついているので、硬いイメージに
  なりますが、自分から進んで不思議なこと、わからないことを探して勉強する意味を
  こめて「研」という字を使いました。
    学校で習う漢字としては間違っていますが、言葉は生きていて時代と共に
  変化しています。
   ・・・皆さんも漢字の意味をよ〜く考えてみると面白い発見がありますよ。
  さあ、いよいよ探研隊のお話が始まります。
 @ 風がふーと吹きました。
  風は木の間をくぐり抜け、そよそよと葉っぱをくすぐると、
  ふわっといい香りがしてきました。
  そばで、おひさまもにっこり顔です。
  青い空には大きな白い雲がゆったり浮かんでいます。

  ・・・みんなの笑い声も聞こえてきました。
  **??さてさて、ここはどこでしょう。
  ・・・ここはみんなの集う公園。
  のんびり、ひなたぼっこや、虫や草木の自然観察もできます。
 A いつもの公園には、大きな大きな木があって、太い頑丈な木の枝には、
  手作りのブランコがぶら下がっています。

  探くん :(小3)「ワーイ・ワーイ。すごいよ!」
  研ちゃん:(幼児)「面白いな。ボクも乗りたい!」
  園ちゃん:(小2)「楽しくって、すてき!」
   仲良しの園ちゃん探君そして研ちゃんの三人は楽しそうに遊んでいます。
   近くでは公先生や隊じいちゃんが公園のお掃除をしてくれています。
   三人は手を振りながらお礼を言いました。
  探くん :「お世話になります。」
  園ちゃん:「ありがとうございます」
   **??おや、研ちゃんが何かを見つけました。**??
  研ちゃん:「あっ!四つ葉のクローバーだ!!
       四つ葉を見つけると幸せになれるって聞いたことがあるよ。
       やったあ。うれしい
なあ。」
 B そばで聞いていた公先生が説明してくれました。
  公先生 :「そうだね。四つ葉はめずらしいから、ラッキーなんだよ。
       クローバーは日本名で、シロツメクサと言うんだ。昔、江戸時代に
       外国のオランダという国から、船で高価なガラスを運んだときに、
       割れないようにシロツメクサの枯れ草をガラスの隙間(すきま)に
       つめて運んだそうだ。だから、つめくさと言われたんだね。」
   みんなが驚いた声で言う
  探くん :「へえ〜、名前って面白いね」
 
 園ちゃん:「なんだか賢くなったみたい。」
 C 続けて公先生が言いました。
  公先生 :「実はね、私の名前の公(おおやけ)の字は「平等で皆のもの」と
       言う意味があるんだよ。公園は、小さな子供からお年寄りまで楽しく
       利用できるみんなの場所。だから仲良く遊んでほしいね。」
   それを聞いていた園ちゃんもうれしそうに言う。
  
園ちゃん:「そう、私の名前はみんなが楽しく集う場所の意味で、園(ソノ)と
       書いてエンと言うのよ。まあるく心優しいどんぐりになりたいの。」

   探君も負けずに話に入っていく。
  探くん :「僕の名前もすごいよ。探検隊の探。不思議な事をいっぱい調べて
       
物知り博士になるんだ。どんな事でも関心を持ってどんどん
       ハテナを探したいな。」

  D 研ちゃんもがんばって大きな声で言いました。
  研ちゃん:「僕の名前は研究の研。エッヘン!いろんなことにチャレンジして、
        しっかり勉強するようにってお父さんがつけてくれたんだ。
        石にかじりついてもガンバレだって。どういう意味かな?」
   園ちゃんと探君が笑いながら言う。
  園&探 :「研ちゃんの字には石という字が付いているからだよ、きっと。」
   研ちゃんは少し恥ずかしそうに。
  研ちゃん:「アッそうか!」
   研ちゃんが振り向いてお掃除してくれていた隊じいちゃんに聞きました。
  研ちゃん:「隊じいちゃんの名前はどうしてなの?」
   隊じいちゃんはやさしくゆっくり応える。
  隊じいちゃん:「わしは地域のみんなの幸せを願って、まとめ役をしているんじゃよ。
         頼りにされているし、・・だからみんなの隊長ってところかな。
         それで隊じいちゃんだよ。ハッハッハ。」

 E とそのとき大粒の雨が降ってきました。
  探くん :「空が暗くなって来たよ。・・・つめたい!雨かな?」
  
 探君が空を見上げて言いました。見ると大きな木の大きな目から大粒の涙が
   こぼれています。
   園ちゃんがあわてて謝る。
  園ちゃん:「ごめんなさい。木の枝にブランコをつけたのできっと痛かったのよ。」
  探君と研ちゃん:「悪いことをしちゃって、ごめんなさい。」
               「ごめんなさい。」
 F 大きな木は枝を大きく横に振って言いました。
  クスノキ:「ううん、ちがうよ、違う。実は僕、うらやましいんだ。
       みんなにはそんな素敵な名前があって。僕は誰?何の木かな?」
   みんなが驚いて言う
  園ちゃん:「え〜、自分のこと知らないの?かわいそうね。」
  探くん :「じゃ。僕たちで調べてあげよう」
  研ちゃん:「そうしよう。そうしよう。」
   みんなは手分けして調べる事にしました。
 G 探君が木をよく観察して言いました。
  探くん :「葉っぱの周りはつるっとしていてギザギザじゃないよ!
       木の色は明るい茶色で縦に筋が入ってしわしわだね。」

   研ちゃんがにおいをかいでみました。
  研ちゃん:「何か薬っぽいにおいがする。」
   図鑑で調べていた園ちゃんが言いました。
  園ちゃん:「この香りは樟脳(しょうのう)と言って洋服なんかの虫除けになるそうよ。
       それに、大きな木だから、神様の木として祭られることもあったみたいね。
       この木はね、
となりのトトロにも出てきたクスノキよ。」
   ♪♪ トットロ・・トットロ・・・♪♪♪
   研ちゃんと探君 声を合わせて:「クスノキだ!ワ〜すごい!!」

 H そばでじっと聞いていた大きな木は少し赤くなって恥ずかしそうに言いました。
  クスノキ:「ありがとう。僕は今まで自分のことを知ろうともしないで、ただ、
       のんびり暮らしていただけだったんだ。色んな事を調べてくれてありがとう。
       僕って役に立つ、たいしたやつなんだね。
       なんだか自信がわいてきた。うれしいよ。本当にありがとう。」
   今度はみんなが赤くなって恥ずかしそうに言いました。
   みんな口々に喜んで言う。
  園ちゃん:「そんなに感謝してもらって、恥ずかしいような、うれしい気分ね。
  研ちゃん:「調べるって楽しいね!」
  探くん :「みんなが物知りになると幸せな気持ちになれるんだね。」



 I 自分がどんな木で、どんな風に役に立ってきたのか、知ることが出来たクスノキは、
   自信を取り戻し、また一段とたくましく成長しました。

 J 大きな木の下の広い木陰には、いつも、公園を愛する子供たちが集い、
   笑い声がいっぱいです。
 K そして立派なクスノキは、青空いっぱいに枝を広げ、公園のシンボルになりました。