定例会・臨時会の結果  平成14年第3回定例会 【意見書・決議】

日朝国交正常化交渉と「拉致事件」の真相究明を求める意見書

(14.10.8提出)

 9月17日,小泉純一郎首相が訪朝し,我が国と朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化への道筋ができたことは,戦後50余年の不正常な両国の関係の改善に向けた大きな一歩であり,世界平和への新たな前進として評価するものである。
 しかしながら,生存の安否が気遣われていた拉致被害者について,北朝鮮側から示された情報は,5人生存,8人死亡という悲惨なものであり,被害者の家族にとっては真実とは認め難い内容であった。
 また,先日派遣された調査団の調査内容の報告には,一定の事実関係の進展はあるものの,死亡したとされる被害者に関して,北朝鮮から示された情報には,いまだ不自然な内容も多く,全容解明には程遠い感は否めない。
 よって国におかれては,日朝国交正常化交渉にはき然とした態度で臨むことはもちろんのこと,拉致事件に関しては,被害者の家族の心情に最大限配慮しつつ,生存者の早期帰国実現,国際手配された容疑者の逮捕,関係者の処罰など,真相究明と早期解決を求め,国民及び全世界に日本の外交の信念を明確に示すよう強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,内閣官房長官,警察庁長官,防衛庁長官,総務大臣,外務大臣


森林・林業・木材関連産業政策の確立を求める意見書

 (14.10.8提出)

 平成13年7月11日に森林・林業基本法が施行され,その具体化に向け10月には森林・林業基本計画が閣議決定された。今後は「森林の有する多面的機能の発揮」を前提に森林整備や地域材利用計画の推進,林業労働力の確保に向け対策等を進めていくこととなった。
 しかし,今日の林業や木材関連産業を巡る情勢は,改善されるどころかますます悪化し続けている状況にある。
 本市においても,国産材の価格低迷が長期に続く中で,林業の採算性が悪化し,このことが森林所有者の林業に対する意欲を失い,「基本計画」とは逆に放置林化し,森林の多面的機能が低下している実情にある。
 今日のような,林業経営を巡る厳しい環境が続く以上,これまでのように森林所有者や関係業界・団体の自助努力を基本とした森林・林業政策だけで,森林の健全性を保つことは,限界にきていると言わざるを得ない。
 よって国におかれては,地球温暖化防止対策として森林・林業政策の推進に向け,下記のことを早急に実現するように強く要望する。




 新たな森林・林業基本計画に基づく,望ましい森林資源育成のための森林施業推進に向け,補助事業の拡大等,新たな森林整備への支援策を講じること。
 学校校舎などの新築や,公共施設への地域材の利用に向け,関係省庁の枠を越えた計画の推進を図ること。また外材輸入に対する規制を加えると同時に,木材価格の安定に向けた,国としての支援策を確立すること。
 森林整備の推進のためには,担い手である林業後継者の育成及び林業労働者の確保が,極めて重要となっている。「緊急地域雇用創出特別基金事業」と連動させた,恒常的林業労働者確保に向け,新たな予算措置を講じること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣,農林水産大臣


安全で快適な学校を目指し施設改善を求める意見書

(14.10.8提出)

 学校施設は,児童・生徒の大切な学び舎であるとともに,地震等の不測の事態には住民の避難所にも指定されており,地域の貴重な防災拠点になっている。
 阪神淡路大震災では,建築基準法の耐震基準が強化された1981年以前に建てられた建築物の被害が目立ち,文部科学省が今年7月にまとめた「公立小中学校施設の耐震改修状況調査結果」(約13万3千棟)によると,全体の約66パーセント(約8万8千棟)が1981年以前に建てられたものであり,このうち約70パーセントが耐震診断を行っていないことが判明した。また耐震診断を実施した30パーセント弱のうち,約1万2千棟が耐震性に問題ありとされた。
 文部科学省による公立小学校施設の推定耐震化率は約60パーセントに過ぎず,築20年以上の施設が全体の約65パーセントを占めるなど老朽化も深刻であり,子どもたちの安全や防災拠点としての安全確保を図るために,耐震化のための補強工事が求められている。
 本市においては,一定の努力を重ねてきているものの,全国的には財政難から,公立学校施設整備費の減少傾向が続き,この10年間では児童・生徒の減少率を上回る大幅減少(マイナス29.2パーセント)となっている。
 子どもたちの安全を図るためにも,学校施設の耐震化は喫緊の課題であり,国としても,そのための立法化をはじめ,その予算確保を最優先すべきである。また子どもたちの学習環境をより快適なものにするためには,冷暖房施設の整備についても促進する必要がある。
 よって国におかれては,耐震化対策及び冷暖房施設の整備について必要な対策とそのための予算を最優先して確保すべきである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,文部科学大臣


税制上の軽減措置等「ヒートアイランド対策」の推進を求める意見書

 (14.10.8提出)

 近年,都市部の気温が郊外より異常に高くなるヒートアイランド現象が深刻化している。
 ヒートアイランド現象は,都市化に伴う緑地・水辺等の減少,自動車や高層ビルの排熱の増大により夏季期間における熱帯夜や乾燥化の促進,冬季期間における大気汚染の促進などの諸状況をもたらしている。
 これらのヒートアイランド現象に対して,これまでも,各種の対策が関係省庁や地方公共団体等で実施されてきているが,根本的な対応となっているとは言い難いと言わざるを得ない。
 よって国におかれては,ヒートアイランド対策に対し,下記の施策について積極的に取り組むべきである。




 ヒートアイランド現象についての研究・調査・分析を進め,そのメカニズムの解明を行い,必要な対策を早急に実施すること。
 都市の緑地保護にかかわる税制上の軽減及び支援措置を講じること。また地方公共団体が森林再生のために行う事業等に対する国の財政的支援策を講じること。
 ビル等における省エネルギーや環境保全対策を強化するとともに,人工排熱の低減・再利用対策についても本格的な対応を図ること。
 中小河川や水路等水辺の保全・創出を図るとともに,透水性・保水性舗装の普及を推進すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,国土交通大臣,環境大臣


少子化社会対策基本法の早期成立を求める意見書

(14.10.8提出)

 現在,我が国では,少子化が急速に進展しており,将来的な労働力人口の減少と高齢者比率の上昇が,人口構造にひずみを生じさせ,将来の社会経済に深刻な影響を与えることが懸念されている。
 この少子化の背景には,職場優先の企業風土,核家族化や都市化の進行等による,仕事と子育てそのものの負担感の増大があり,これらを解消し,安心して子育てができる社会を形成する必要がある。
 現在,国では,いわゆる新エンゼルプランを中心に少子化対策が進められているところではあるが,今後は,雇用の促進・充実,労働条件の整備,福祉,教育分野にわたる総合的な少子化対策が一層着実に推進されるべきである。
 よって国におかれては,少子化社会対策基本法の成立を早期に実現されるよう,強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣


奨学金制度の拡充を求める意見書

 (14.10.8提出)

 長引く不況によるリストラや給与カットなどにより,失業や所得の大幅減少を強いられている世帯が数多く発生している。このため,高校・大学の中退や大学への進学の断念を余儀なくされるケースが,近年高水準で推移している。
 日本育英会を中心とした我が国の公的奨学金制度は年々充実しつつある。平成11年4月にスタートした大学,短大,専修学校等を対象にした新しい有利子奨学金「きぼう21プラン」の貸与人数枠も年々拡大している。また保護者の失業や死亡,事故などによる家計急変があった場合に貸し付ける「緊急採用奨学金制度」(無利子)も年間1万人の利用に備え,随時申込みができるようになった。
 しかしながら,政府の特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月閣議決定)に基づく特殊法人日本育英会の廃止決定により,我が国の公的奨学金制度が廃止又は改悪されるのではないかという懸念もある。幸い,遠山文部科学大臣は,これを明確に否定し,新しい組織の下で更に公的奨学金制度を充実させると明言している。
 大学生総数の約2倍規模の奨学金提供がある英国や,国と民間が多種多様な奨学金を手厚く提供している米国等に比較し,我が国はまだまだ遅れていることを認識し,一層の充実を図るべきである。
 また,物価高の日本で学ぶ留学生や就学生も急増しており,良き日本の理解者となる彼らに対する公的支援の充実も図っていく必要がある。
 よって国におかれては,教育の充実こそ,最も優先すべき未来投資であることを認識し,下記の施策の早期実現を図るべきである。




 大学,短大,専門学校生への奨学金制度(特に無利子)を抜本拡充すること。
 高校,専門学校,大学への進学時の入学資金について,これを奨学金の対象とする制度を創設すること。
 海外留学希望者への奨学金を創設すること。
 留学生・就学生の学習奨励費の拡充に努めること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣


青少年が健全に育つ社会環境形成に関する基本法の制定を求める意見書

(14.10.8提出)

 近年,雑誌やビデオ,インターネット等での過激な暴力や性描写のはん濫,また携帯電話向けの出会い系サイトがきっかけとなった事件や犯罪の増加など,青少年を取り巻く環境は,有害な情報にあふれかえっていると言っても過言ではない。
 このような社会環境は,育ち盛りの青少年の人格形成に大きな悪影響を及ぼし,深刻化する少年犯罪との関連も危ぐされるところとなっている。
 これまで,国での児童買春ポルノ禁止法の制定や地方での青少年保護条例による規制,また,こういった法律や条例に加え,映倫や出版倫理協議会といった業界での自主規制も行われているが,その実効性に疑問を投げ掛ける声は多く,青少年を取り巻く環境は一向に改善されていないと言わざるを得ない。
 よって国におかれては,青少年が健やかに成長する社会環境の形成に関する基本法を早期に制定されるよう強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,警察庁長官,総務大臣,法務大臣,文部科学大臣


個人情報保護法の早期制定を求める意見書

(14.10.8提出)

 デジタル・ネットワーク社会の急速な進展の中で,個人情報については,漏えいやその不正使用が社会問題となっており,国民の間では個人情報の保護についての関心が高まっている。
 このような中で,住民基本台帳ネットワークシステムの実施により,氏名,生年月日,性別,住所等の個人情報が全国の自治体を結んで取り扱われることとなったが,公共及び民間を含め,個人情報の保護対策は早期に進めなくてはならない喫緊の課題である。
 よって国におかれては,基本的人権の遵守,言論・報道の自由などに配慮し,徹底して個人の情報が守られるよう,個人情報保護法の成立を早急に実現されるよう強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣


元市幹部職員の続発する不祥事に関する決議

(14.10.8決議)

 本年5月に発覚した前東部クリーンセンター所長の汚職事件に続き,8月には都市計画局担当課長が逮捕され,9月にも前都市計画局担当部長が逮捕された。
 市民の信託を受けて職務を遂行しなければならない本市幹部職員が,職務に関連する業者から金銭を収受し,更には海外旅行の接待を受けていたことは,先に制定した「市職員の倫理の保持に関する条例」を全く無視し,公務員としての倫理感覚の欠如した許されざる行為である。
 5月市会における市会決議にもかかわらず,このような不祥事が相次いだことは,市民の信頼を裏切るばかりでなく,贈賄側が本市公認水道協会の幹部であったこともあり,同様の事件がまだあるのではないかとの疑念を招きかねず,誠に遺憾な事態である。
 よって市長は,関係団体を含む綱紀粛正,公務員倫理の徹底を図るとともに,再発防止のために設置した「対策委員会」で,更なる調査と原因究明を進め,公正職務執行委員会(仮称)の設置や,入札予定価格の事前公表,電子入札制の導入等の徹底した再発防止策を速やかに実施すべきである。

 以上,決議する。


京都民医連中央病院の検査虚偽報告及び不正請求に関する徹底究明を求める決議

 (14.10.8決議)

 全国的に様々な医療ミスが続発し,医療に対する国民の不信がつのっている。
 この度,発覚した京都民医連中央病院による重大なる背信行為は,医療の根幹とも言うべき,医療関係者と患者の間で長年培われてきた極めて重要な「信頼」を,根底から大きく損なわせしめ,患者の生命をも脅かす誠に重大な犯罪行為と言わざるを得ない。
 4年以上とも言われる長期間にわたって患者を偽り続け,なおかつ,その料金を隠匿・着服するというかかる不正行為は,医療という人間の尊厳の上に成り立つ崇高な現場で,決してあってはならない背信行為そのものである。
 未実施の検査は,現段階で判明したものだけでも,2,400件もの膨大な件数となっており,調査発表ごとに増加し,今後の動向が極めて憂慮されている。
 その上,新聞報道によると,こうした検査の未実施の患者の中から,既に痛ましくも亡くなられた方が89名おられ,未実施がゆえに適切な医療を受けられていない方がどの程度おられるのかは,今後の調査を待たざるを得ないが,患者の皆さん方の心痛は,計り知れないものがある。
 また,これらの民医連系列の病院及び診療所は,日本共産党京都市会議員のみの紹介により,過去再三にわたり,市民の命と健康を守るためとして「国民健康保険料の値下げ」などの請願を議会に提出しておりながら,片や,かかる不正行為を続けていたわけであり,議会に対する冒とくと同時に請願権の濫用との指摘を免れ得ない。
 このようなことは,患者や患者家族はもとより,市民全体,更には,市民の代表である我々議会に対しての三重の背信行為である。
 こうした事態を踏まえ,京都市は直ちに対策チームを設置し,病院に対する処分権限を持つ京都府と合同で臨時の立入検査を実施したが,診療報酬不正請求については,告発も視野に入れ検討すべきである。
 同時に,医療面における原因の究明はもとより,市民の医療に対する不安・不信感を払しょくし,信頼を回復するための徹底した取組を全力で行うよう強く求めるものである。

 以上,決議する。


目次][会期日程][議案審議結果][付帯決議等][意見書・決議][採択請願