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 平成22年第2回定例会 【意見書・決議】

B型・C型肝炎ウイルス患者の救済に関する意見書

(22年5月28日提出)

 我が国には,B型・C型肝炎ウイルス患者が350万人以上いると推定されている。その多くは,血液製剤の投与や輸血,集団予防接種における注射器の使い回しなどの医療行為による感染であり,国の責任による医原病とされている。患者の大半は,インターフェロン治療の助成などの救済策があるものの,重篤な病気の進行による健康不安や高額な治療費負担に苦しんでおり,すべての肝炎患者の救済が求められている。
 平成20年1月に成立した特定C型肝炎ウイルス感染被害者救済特別措置法に基づき,裁判所において,カルテ等の記録により,血液製剤の投与事実と感染の因果関係が認定された特定C型肝炎ウイルス感染被害者については,症状に応じて給付金が交付されることとなった。
 しかし,C型肝炎は,感染後長い年月を経て発症することが多いため,保存義務が5年であるカルテによる証明は困難とされる。事実,特別措置法制定後2年を経た今も,その数200万人といわれるC型肝炎ウイルス感染者のうち約1,500人が認定されたにすぎない。毎日120人の患者の命が奪われている現状において,具体的な救済策の確立と実施が強く求められている。
 よって国におかれては,平成21年11月に制定された肝炎対策基本法を基に,患者救済に必要な法整備を直ちに行うとともに,下記の救済策を講じられたい。
 カルテのないC型肝炎ウイルス感染被害者についても,カルテ以外の記録,医師や本人,家族等による証言等も幅広く考慮することにより,特定C型肝炎ウイルス患者と認定し,特別措置法の適用による救済を図るなど,より一層の対応を講じること。
 集団予防接種が原因とされるB型肝炎患者の救済策を推し進めること。
 肝庇護薬,検査費用及び通院費への助成をはじめ,肝炎治療費への支援及び生活保障を行うこと。
 肝硬変・肝がん患者の障害者認定基準を適切化し,救済枠を拡大すること。
 ウイルス性肝炎の治療体制・治療環境の整備,治療薬・治療法の開発促進,治験の迅速化などを図ること。
 医原病であるウイルス性肝炎の発症者に一時金,健康管理手当などを支給すること。
 薬害再発防止策を徹底するとともに,ウイルス性肝炎への偏見・差別の解消を図ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


口蹄疫の感染防止に向けた対策の充実強化を求める意見書

(22年5月28日提出)

 口蹄疫が最初に確認されてから1箇月余り。殺処分対象の牛や豚は,既に30万頭を超えると予想されることから,過去最悪の被害となった。ワクチン使用の決定にも時間を要し,政府,県の口蹄疫に対する認識の甘さや初動対応の指示の遅れから,このような事態になったことは,極めて遺憾である。
 今なお,事態の収束に至っておらず,ブランド牛・豚を有する地域の多くの畜産関係者は,多大な不安を感じている。
よって国におかれては,口蹄疫の感染防止に向けて,下記の措置を講じること。
 国の責任で防疫措置の徹底を図ること。殺処分した家畜の埋却が迅速に行われるよう,処分地の確保から埋却まで国が責任を持って進めること。県外への感染を拡大させないために,あらゆる人的体制をも採って徹底的な防疫(消毒,検査及び運搬)を行うこと。
 畜産農家への速やかな補償と営農再開の支援を行い,同時に畜産関連産業に関係している人々の生活を守ること。融資や貸付では限度があることから,直接補助や交付金などにより,国の責任で営農再開の補償を行うこと。
 交通網の発達により,ウイルスの移動は容易であることから,全国の畜産農家の確認,調査を徹底し,口蹄疫の封じ込めに全力を挙げること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣


小規模グループホームの防火体制強化を求める意見書

(22年5月28日提出)

 今年3月13日未明に発生した札幌市の認知症グループホームの火災は,入居者7名が亡くなるという大変痛ましい結果となった。当直者も1名であり,国基準には違反していないものの,人員基準の見直しも指摘されているところである。
 以前にも,平成18年に長崎県大村市,平成21年には群馬県渋川市で,同様の火災により多くの犠牲者が出ている。
 政府は,平成18年の長崎県大村市での火災を受け,平成19年6月に消防法施行令を一部改正し,認知症グループホームにおける防火体制の強化を図り,平成21年度からは,厚生労働省も「小規模福祉施設スプリンクラー整備事業」でスプリンクラー設備を設置する施設に対し交付金措置を行うなど,対策を進めてきている。
 しかし,今回札幌で火災が起こった施設は,スプリンクラー設備設置基準である275平方メートル未満の施設であり,こうした小規模施設は,これからも増加する傾向にある。
 よって国におかれては,今後の小規模グループホームにおける防火体制の強化に向け,下記の点について取り組まれるよう強く要望する。
 275平方メートル未満の施設も含め,交付金等による国の責任で,すべてのグループホームにおけるスプリンクラー設備の設置を義務化すること。
 小規模グループホームにおける人員配置基準を拡充するとともに,人員配置に対する国の支援策を実施すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,消防庁長官


小沢一郎民主党幹事長の国会証人喚問を求める意見書

(22年5月28日提出)

 東京地検が民主党小沢幹事長を再び不起訴としたが,疑惑が晴れたわけではなく,飽くまで嫌疑不十分だと言っているだけで,2回目の検察審査会において再度審議されることとなり,国民目線に立った判断が期待されている。
 マスコミの世論調査でも,小沢氏の国会の場での説明を「必要がある」と答えた人が8割にも達しており,国会の責任は重大である。
 小沢幹事長は,マスコミにも公開されない事実上の密室である国会の政治倫理審査会での一方的な弁明にすり替えようとしているが,認められるものではない。資金管理団体の虚偽記載問題にとどまらず,一連の疑惑に関して,真相解明と政治的道義的責任の追及が求められている。
 よって国におかれては,真相解明と再発防止のために,うその証言があれば偽証罪で告発できる証人喚問を行うべきである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣


子どもの医療費の無料化を国の制度として実施することを求める意見書

(22年5月28日提出)

 「子どもが病気のとき,費用の心配をせずに安心して病院に掛かれるように」ということは,子育て世代の切実な願いである。
 こうした中,子どもの医療費無料化の流れは全国に広がり,都道府県すべてが子どもの医療費助成を行っている。さらに,入院で98パーセント,通院で94パーセントの市区町村が都道府県負担に上乗せ助成をしている。しかし,子どもの医療費助成は,対象年齢や助成条件など自治体間に格差があるのが現状である。
 よって国におかれては,当面,小学校に入学するまでの子どもを対象にした医療費の無料化を制度として実施するよう求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


地域主権改革一括法案に関する意見書

(22年5月28日提出)

 地域主権改革一括法案は,特に保育所や障害児施設などの福祉施設の最低基準をなくし,条例に委任しようとするものである。この基準は,児童福祉法において「児童の身体的,精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準を確保するものでなければならない」とうたわれているとおり,国が最低保障水準を明らかにし,財政保障の基準ともなる,文字どおりの最低基準であって,諸外国と比べ極めて低い水準にあることから,むしろその引上げこそが求められている。基準撤廃により,施設面積や防災機能などがあいまいにされるとともに,参議院における審議の過程では,例えば保育所の避難用滑り台の設置も義務付けられなくなるなど,安全にかかわる重大問題も明らかになった。
  「地域のことは地域住民が決める」という「地域主権改革」とうたっているが,本法案は,福祉や教育におけるナショナルミニマムを保障する国の責任を放棄し,財政責任をあいまいにするものである。規制緩和の流れとも相まって,営利企業の参入による詰め込み・低コストの保育サービスの拡大に通じることも危ぐされる。
 よって国におかれては,本法案を廃案とすべきである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣


マルチメディアデイジー版教科書の普及促進を求める意見書

(22年5月28日提出)

 平成20年9月に「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」,いわゆる教科書バリアフリー法が施行された。
 この教科書バリアフリー法の施行を機に,財団法人日本障害者リハビリテーション協会(リハ協)が,ボランティア団体の協力を得て,通常の教科書と同様のテキストと画像を使用し,デジタル化対応することで,テキスト文字に音声をシンクロ(同期)させて読むことを可能にした「マルチメディアデイジー版教科書」(デイジー教科書)の提供を開始した。また,文部科学省において,平成21年度から,発達障害等の障害特性に応じたデイジー教科書などの教材の在り方や,それらを活用した効果的な指導方法等について,実証的な調査研究が実施されている。
 現在,デイジー教科書は,調査研究段階であるにもかかわらず,平成21年12月現在で約300人の児童生徒に活用されており,保護者などから学習理解が向上したとの効果が表明されるなど,その普及促進への期待が大きな高まりを見せているところである。
 しかし,デイジー教科書は,いまだ「教科書無償給与」の対象となっていないことに加えて,その製作は,多大な時間と費用を要するにもかかわらず,ボランティア団体頼みであるため,必要とする児童生徒の希望に十分にこたえられない状況にあり,実際にリハ協が平成21年度にデジタル化対応したデイジー教科書は,小中学生用教科書全体の約4分の1に留まっている。
 このような現状を踏まえると,まず教科用特定図書等の普及促進のための予算の更なる拡充が求められるところであるが,平成21年度の同予算が1.72億円に対し,平成22年度は1.56億円と縮減されており,その普及促進への取組は不十分であると言わざるを得ない。
 よって国におかれては,デイジー教科書を,必要とする児童生徒,担当教員等に安定して配布・提供できるよう,その普及促進のための体制の整備及び必要な予算措置を講じることを強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣



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