古活字版(こかつじばん)
安土桃山時代末期から江戸初期にかけて出版された活字印本は古活字版と呼ばれており,次のようなものがあります。
キリシタン版 天正19(1591)年から慶長16(1611)年にかけて刊行され,『平家物語』など現在29種が知られています。京都で出版されたのは,慶長15年4月に原田アントニオが印刷した仮名まじり文の宗教書『こんてむつす・むん地』の一種のみです。
慶長勅版(けいちょうちょくはん) 慶長2(1597)年から同8(1603)年にかけて,後陽成天皇の命により,大型の木製活字を用いた勅版が印刷され,『錦繍段』(きんしゅうだん)『日本書紀神代巻』(にほんしょきかみよのまき)『論語』『孟子』などを出版しました。
伏見版(ふしみばん) 円光寺版(えんこうじばん)とも呼ばれ,閑室元佶(かんしつげんきつ,1548〜1612)が,伏見の円光寺(現左京区一乗寺小谷町)で,慶長4(1599)年に徳川家康が寄附した木活字10万字を使用し,『孔子家語』(こうしけご)『三略』(さんりゃく)『六韜』(りくとう)『貞観政要』(じょうがんせいよう)『周易』(しゅうえき)などの書物を印刷しました。
嵯峨本(さがぼん) 本阿弥光悦(ほんあみこうえつ,1558〜1637)が角倉素庵(すみのくらそあん,1571〜1632)の協力を得て平仮名交りの国書を木活字で出版しました。角倉本・光悦本とも呼ばれたこの書籍は,装丁の美しさが特徴で,表紙・本紙には雲母紙を使っています。慶長13(1608)年刊の『伊勢物語』(10種)をはじめとし,『方丈記』『百人一首』『徒然草』『源氏物語』などを出版しました。
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