はじめに

いきいきとした暮らしの息づかい，子どもたちの楽しそうな話し声，伝統を感じるどこか懐かしい風情，そして地域の皆様の温かさ・・・。東福寺駅界隈をゆっくり歩くと，このまちの魅力をより身近に感じます。多くの皆様にもっともっと，この地を歩いて楽しんでいただきたいと思います。

　京都市では，公共交通優先の「歩いて楽しいまち」の実現を目指した取組を積極的に進めています。その一環として，この度とりまとめました「東福寺地区バリアフリー移動等円滑化基本構想」では，駅及び周辺道路等のバリアフリー化を重点的，一体的に推進していくための基本的事項を定めています。

　高齢者や障害のある方をはじめ，すべての人に地域で安心して健やかに暮らしていただきたい，そしてこの東福寺地区を更に大好きになっていただきたい，そんな思いを込めて策定致しました。

　今後は，この基本構想をもとに，公共交通事業者や関係行政機関と連携して，多くの皆様が永年待ち望んでおられましたＪＲ及び京阪の東福寺駅へのエレベーター設置をはじめとする駅の改善や駅周辺の主要施設を結ぶ経路のバリアフリー化などを着実に推進して参ります。

　結びに，東福寺地区バリアフリー移動等円滑化基本構想策定連絡会議において熱心に御議論，御検討いただきました委員の皆様，並びに多くの貴重な御意見をお寄せくださいました市民の皆様に，心から御礼申し上げます。

　次に，重点整備地区内の区域の設定について説明します。

　バリアフリー新法は，「高齢者や障害のある方などの移動上及び施設の利用上の利便性，安全性の向上を促進する。」ことを目的としており，重点整備地区は，「生活関連施設（高齢者，障害のある方などが日常生活又は社会生活において利用する旅客施設，官公庁施設，福祉施設及びその他の施設）の所在地を含み，かつ，生活関連施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区であること。」と規定しています。

　このことを踏まえ，当地区の重点整備地区の区域を次のように設定しました。

　まず，ＪＲ東福寺駅，京阪東福寺駅周辺の徒歩圏に立地し，多くの高齢者や障害のある方などが，徒歩で利用すると考えられる生活関連施設として，京都第一赤十字病院，今熊野商店街，東福寺を抽出しました。

　これら生活関連施設を包括的に含む範囲を重点整備地区としました。なお，既に基本構想が策定された京阪五条・七条地区及び稲荷地区の範囲などについて考慮しながら，具体的な区域については，道路，鉄道，河川及び敷地界によって明確に境界を定め，西は鴨川，東は東大路，京都第一赤十字病院及び東福寺の東側敷地界，南は東福寺の南側敷地界及び十条通，北はＪＲ東海道本線で囲まれる範囲を重点整備地区と設定しました。

　重点整備地区におけるバリアフリー化推進の流れについて説明します。

　まず，移動等円滑化基本構想に基づき，主要なバリアフリー化事業である「特定事業」を，具体的な事業計画として作成した後，平成２２年を目標年次として，実施していきます。

　この特定事業は主に３つあります。

　１つ目は，鉄道事業者やバス事業者などの公共交通事業者が実施する「公共交通特定事業」であり，駅へのエレベーターの設置などを行う事業です。

　２つ目は，道路管理者が実施する「道路特定事業」で，旅客施設周辺の生活関連道路において段差や勾配の改善を行う事業です。

　３つ目は，京都府公安委員会が実施する「交通安全特定事業」で，旅客施設周辺の生活関連経路において，信号機への視覚障害者用付加装置，いわゆる音響装置の設置などを行う事業です。

　その他，建築物などの生活関連施設の所有者等が実施する，視覚障害者誘導ブロックの改良等のバリアフリー化事業があります。

　なお，特定事業以外の事業については，可能な限り平成２２年までに完了させるよう努めるとともに，長期的な取組も進めていくこととしています。

　バリアフリー化事業計画の概要を順に説明します。

　まず，ＪＲ東福寺駅及び京阪東福寺駅並びにバス車両のバリアフリー化事業計画の概要について説明します。

　鉄道駅において実施する公共交通特定事業計画としては，西日本旅客鉄道が，ＪＲ東福寺駅において，平成２２年を目標年次として，エレベーターを設置します。また，階段の手すりの改良，オストメイト対応トイレへの改良，トイレの出入口における音響案内装置の設置，バリアフリー化事業に伴う駅全体の案内設備の改良を行います。

　京阪電気鉄道においては，京阪東福寺駅において，平成２２年を目標年次として，上りホーム側の改札へのエレベーターの設置，階段・スロープの手すりの設置・改善，オストメイト対応化等多機能トイレへの改良，バリアフリー化事業に伴う駅全体の案内設備の改良を行います。

　公共交通特定事業以外の事業計画としては，京阪東福寺駅において，券売機の蹴り込み改善を行います。また，ＪＲ東福寺駅及び京阪東福寺駅の両駅において、非常停止ボタンの設置を行います。これらの事業は平成２２年を目標年次としています。

　この他，事業実施時期は未定ですが，両駅において，様々な設備の改善の検討，各事業者における共通課題の検討を挙げており，できるだけ早く事業実施できるよう検討を行います。

　バス車両の公共交通特定事業計画としては，平成２２年を目標年次として，京都市交通局が東福寺地区のバス停を発着する車両の約９０％をノンステップバスにする計画です。

　次に，道路及び交通安全施設などのバリアフリー化事業計画の概要について説明します。

　生活関連経路とした道路については，道路管理者が道路特定事業として，段差，勾配の改善をはじめとするバリアフリー化事業を重点的に実施します。

　また，駅周辺に分布する商業施設，公益施設等への歩行者の移動経路や駅周辺に居住する市民及び京都を訪れる観光客のJR東福寺駅及び京阪東福寺駅へのアクセス経路の安全性の確保などの観点から，重点整備地区内のその他の道路について，道路特定事業以外の施策を含め，できる限り一体的にバリアフリー化を図れるよう，努めます。

　交通安全特定事業計画としては，京都府公安委員会が，すべての生活関連経路において，違法駐車の指導・取締り及び広報・啓発を継続的に推進していきます。

　さらに，東福寺交差点においては，既設信号機の高齢者等感応化への改良整備を検討します。

　その他の取組について説明します。

　京都第一赤十字病院では本館Ａ，Ｂ棟において，将来の旧病棟の改築計画に合わせ車いす対応型トイレをオストメイト機能が付加した多機能トイレへの改修，点字案内図の設置及び視覚障害者用誘導ブロックの改善等の取組を行います。さらに，改築計画においては，建物の全体的な利用動線を考慮した案内サインの設置，改善を検討します。

　東福寺において，これまで拝観者用に車いす対応型トイレを３箇所設置するなどバリアフリー化の取組を進めております。また，心のバリアフリー等の人的対応も含めた利用の円滑化も促進し，施設の更新時などにできる限りバリアフリー化に対応できるように検討を行います。

　今熊野商店街において，これまで看板・商品等の道路へのはみ出しなどについて，啓発活動などさまざまな取組を行っています。今後も利用者が快適に買い物ができるように取組を進めます。

ソフト施策（コミュニケーションのバリアフリー化）の概要について説明します。

　バリアフリー化設備の整備にあわせ，市民が高齢者や障害のある方などに対する理解を深め，手助けなどの積極的な協力を行うことのできる環境を整備するため，市民，公共交通事業者，行政機関などが互いに連携し，広報・啓発や教育・研修などのソフト施策を展開することにより，国民すべての責務である「心のバリアフリー」を推進していきます。

　また，バリアフリー化された施設が有効かつ適切に機能するようにするための，バリアフリー化設備に関する適切な情報提供や，駅や歩行経路における分かりやすい案内情報の提供や伝達方法の確保・充実などのソフト施策に取り組むことにより，「情報のバリアフリー」を推進していきます。

　バリアフリー化事業の推進体制について説明します。

　基本構想策定後，情報案内設備及び生活関連施設に関するバリアフリー化事業の検討並びに道路特定事業計画及び交通安全特定事業計画作成のための検討を行っていきます。

　道路特定事業計画及び交通安全特定事業計画は，平成２０年度末を目途に作成し，計画案を「第5回連絡会議」で報告します。

　公共交通特定事業計画は，基本構想策定後に作成し，JR東福寺駅・京阪東福寺駅のバリアフリー化事業を行っていきます。

　特定事業計画以外の事業については，可能な限り平成２２年までに完了するよう努めるとともに，平成２３年以降を含めた長期的な取組も進めていきます。

　この「連絡会議」を，移動等円滑化基本構想策定後も，道路特定事業計画案及び交通安全特定事業計画案の取りまとめが完了した段階や，各バリアフリー化事業が一定の進捗を見た段階などにおいて適宜開催し，事業推進状況などについての検証を行います。

　京都市は，全市的なバリアフリー化事業の進捗状況に関する情報を収集し，ホームページなどを順次更新して情報提供を行います。

　この案内は，京都市都市計画局　歩くまち京都推進室が担当しています。

　連絡先です。
　住所は，〒604-8571　京都市中京〔なかぎょう〕区寺町通〔てらまちどおり〕御池〔おいけ〕上〔あがる〕 上本能寺前町〔かみほんのうじまえちょう〕４８８番地です。
　電話番号は，075-222-3483。ファックス番号は，075-213-1064です。

　なお，「東福寺地区バリアフリー移動等円滑化基本構想」「概要版」の点字版は，東山区役所及び京都ライトハウスに置いています。