「バリアフリー化推進に係る基本方針」と「長期整備プログラム」について説明します。

まず,バリアフリー化推進に係る基本方針として,
一つ,移動そのものを断念せざるを得なくなるような障壁ともなる段差を解消することを優先した施設整備を進めます。
二つ,移動に制約のある人の特性に十分配慮し,段差解消を優先しつつ,情報案内設備などのあらゆるバリアフリー化設備の整備を進めます。
三つ,バリアフリー化の推進に当たっては,利用者の意見を十分聴き,それを反映させます。
四つ,ハード整備に併せ,市民一人ひとりが高齢者や身体に障害のある人などに対する理解を深め,積極的に手助けなどを行う「心のバリアフリー」を推進します。

次に,バリアフリー化の目標について説明します。
現実的,合理的なバリアフリー化の目標として,事業者が最大限努力できる改善方策をもって,京都市独自のバリアフリー化の目標としました。

まず,1日当たりの利用者数が5,000人以上の旅客施設では,平成13年度末現在,音声による運行情報案内や,ベンチ・待合所,プラットホームの転落防止策は,ほとんどの旅客施設で整備が完了しています。
しかし,段差の解消や誘導・警告ブロック,料金の点字表示,車椅子対応型券売機などの整備率は50%から70%台にとどまっています。
バリアフリー化の目標として,特に現在約57%にとどまっている段差の解消を,平成22年度末までに約92%にまで高めることとし,誘導警告ブロックや料金の点字表示,車椅子対応型券売機などの整備率も高めることとします。

市内の全旅客施設では,平成13年度末現在,ベンチ・待合所はほとんどの旅客施設で整備が完了しており,音声による運行情報案内・プラットホームの転落防止策・幅広タイプの改札口は約7割から8割の旅客施設で整備されていますが,その他の設備は約半数しか整備されていない状況です。
バリアフリー化の目標として,平成22年度末までに,これらの整備率をそれぞれ現在より約10%高めることし,特に段差の解消については,現在の約45%から約68%にまで高めることとします。

路線バスについては,ノンステップバスの導入を基本とした人に優しいバスの導入を進め,バリアフリー化の目標として,特にノンステップバスの導入比率を,平成13年度末現在の約7%から,平成22年度末に約63%,平成27年度末に約69%にまで高めることとします。

次に,5つの長期整備プログラムの内容を説明します。

1つ目は,重点整備地区の整備プログラムです。
京都市は,「重点整備地区」に選定した14地区について,順次,地区ごとに「移動円滑化基本構想」を策定していきます。そして,公共交通事業者,道路管理者及び公安委員会は,「移動円滑化基本構想」の策定後速やかに事業計画を作成し,互いに連携し,集中的かつ効果的にバリアフリー化事業を実施します。

2つ目は,旅客施設単独の整備プログラムです。
優先順位1として,公共交通事業者は,より整備優先度の高い「引き続き改善方策を検討する地区」又は「事業者の単独整備地区」に立地する旅客施設を他の旅客施設に優先してバリアフリー化を図っていきます。
また,優先順位2として,公共交通事業者は,1日当たりの利用者数が5,000人以上の旅客施設を5,000人未満の旅客施設に優先してバリアフリー化を図っていきます。

3つ目は,旅客施設周辺地区単独の整備プログラムです。
道路管理者などは,旅客施設のバリアフリ−化事業と連携し,道路の面的なバリアフリー化事業である「歩行空間ネットワーク総合整備事業」の区域に含めるなど,道路関連事業の実施に併せてバリアフリー化を図っていきます。
なお,京都市は,「歩行空間ネットワーク総合整備事業」を計画的に進めるため,平成14年度中に「京都市歩行空間ネットワーク整備基本計画」を策定します。

4つ目は,車両の整備プログラムです。
鉄軌道車両については,公共交通事業者は,車両の更新時にバリアフリー化された車両を購入することを基本とし,また,既存の車両についても可能な限りの改善を行うことにより,バリアフリー化を図っていきます。
また,ホームと車両の乗降口との段差や隙間について,できるだけ解消するよう検討を行っていきます。
乗合バス車両については,公共交通事業者は,車両の更新時に,ノンステップバスを基本としたバリアフリー化された車両を購入することにより,バリアフリー化を図っていきます。

5つ目は,ソフト施策その他の整備プログラムです。
行政機関,公共交通事業者,市民などは,互いに連携し,バリアフリー化設備に関する適切な情報提供を行うとともに,国民全ての責務である「心のバリアフリー」を推進します。
また,京都市は「重点整備地区」におけるバリアフリー化事業の進行管理を行うとともに,公共交通事業者などが単独で実施するバリアフリー化事業についての情報を収集し,ホームページなどを通じ,バリアフリー化の進捗情報を提供します。


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