定例会・臨時会の結果  平成12年第4回定例会 【意見書・決議】

京都議定書の早期発効を求める意見書

(12.12.14提出)

 1997年12月,地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された京都議定書が,地球サミットから10年目の2002年に法的拘束力を持つ議定書として発効するために,地球温暖化防止京都会議の議長国である我が国はもとより各国において京都議定書が批准され,実施に移されることが期待されてきたところである。
 本年11月にオランダのハーグ市で開催された気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)において,京都議定書を各国が批准可能なものにするために不可欠な政治的合意に至ることが求められていたが,結果的に合意に至ることができなかったことは,極めて遺憾である。
 気候変動はこれまでの予想を超える速度で進行しており,地球規模で温室効果ガスの排出削減の対策を採り,将来世代の安全を確保することは,私たち現在世代の責務である。気候変動を防ぎ,地球温暖化防止のために,京都で生まれた京都議定書を,人類の英知を結集した国際的制度基盤として1日も早く発効させなければならない。
 よって国におかれては,引き続き国内の排出削減対策の充実を図るとともに,続行されるCOP6においては,吸収源等において柔軟な交渉姿勢を持って国際的合意の形成に当たり,もって,京都議定書が歴史的に意義ある議定書として出発できるように,地球温暖化防止京都会議の議長国としての役割を果たすべきである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,環境庁長官,外務大臣,通商産業大臣,運輸大臣,自治大臣


食品の安全確保に関する意見書

 (12.12.14提出)

 近年,食品添加物,農薬・動物用医薬品の残留問題等に加えて,遺伝子組換え食品など新しい科学技術によって生産された食品の安全性に対して,強い関心が寄せられている。
 また,0−157やダイオキシン,環境ホルモンなど従来大きな問題とされていなかった事柄が問題となっているほか,食品流通の国際化に伴って,今や世界の各地から食品が輸入されており,食品の安全性に対する関心も高まっている。
 このような中で,食品の安全確保の課題を行政上の重要課題として位置付け,食品の安全確保に関する諸制度を整備することが急務となっている。
 よって国におかれては,食品の安全確保を図るため,食品の安全確保の根拠法である食品衛生法について,消費者の安全確保の視点を組み入れた法改正や情報公開,包装表示の充実など運用の強化を図るよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,厚生大臣,自治大臣


音楽療法士の国家資格制度の創設等を求める意見書

 (12.12.14提出)

 音楽は,直接人間の心身に働き掛け,高齢者や病人あるいは心身障害者・児の健康や心の豊かさなど心身の活性化に大きな効果を与えることが知られている。音楽療法はこうした音楽の力を活用して,対象者の心身機能の回復や健康の維持を図ろうとするものである。
 音楽療法については,既に米国,英国,ドイツ,カナダ及びオーストラリアなどの欧米諸国において早くから実施され,特に米国においては,1991年に高齢者法の中に音楽療法が位置付けられ,高齢者や心身障害者等の国民の健康回復や維持に大きな力を発揮している。
 我が国においては,奈良市や岐阜県等において,先駆的試みが行われる中でその効果が確認され,徐々に地域から全国各地へと,音楽療法に対するニーズが大きな高まりを見せている。しかしながら,我が国において,民間団体によって音楽療法の研究と実践が行われているものの,それに対する公的な認知がなされていないため,音楽療法が不可欠とされる高齢者施設や重度障害者・児等の医療・福祉施設等においてさえも,その普及が遅れている現状にある。
 特に音楽療法は,医療や福祉等のチーム医療の中でその効果が発揮されるとされており,高齢者や心身障害者等に対する有力な医療方法として導入される必要があり,そのためには,「音楽療法士」の国家資格化を実現する必要がある。
 よって国におかれては,下記の施策を早急に確立されるよう求めるものである。

音楽療法士の国家資格制度を創設し,音楽療法士の養成を図ること。
民間や地方自治体による音楽療法の調査研究や普及活動に対する国の補助制度を創設すること。
高齢者施設や重度障害者・児等の医療・福祉施設等における音楽療法導入に対する補助を行うこと。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,大蔵大臣,厚生大臣,自治大臣


リバース・モーゲージ制度の確立等を求める意見書

 (12.12.14提出)

 近年,一人暮し老人や老人夫婦世帯が増加していることから,我が国においても,高齢者が安心して老後を送るための費用を得るための手段の一つとして,リバース・モーゲージ制度の普及が求められている。
 この制度は,高齢者が住んでいる住宅・土地等の資産を担保にして,高齢者の生活費や介護費等を金融機関や自治体から融資として受け,死亡後,担保になった住宅・土地等を売却して清算するものであり,現在,武蔵野市をはじめとする17の自治体において,金融機関との連携の下に実施されており,老後の生活の安定と向上に一定の役割を果たしている。
 しかしながら,この制度は,住宅・土地等の資産価値の劣化に伴う担保割れ,金利の上昇などリスクを伴うことから,制度の普及が進んでいない現状にある。
 よって国におかれては,既にこの制度が整備・確立されている米国やフランスなどの取組等を学びつつ,高齢者が利用しやすい「リバース・モーゲージ制度」の確立に向け研究,検討すべきである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,厚生大臣,建設大臣,自治大臣


同和行政に関する決議

 (12.12.14決議)

 京都市会においては,今日まで幾度となく本会議,委員会において,同和問題の早期解決を訴え続け,平成4年3月には「同和問題の解決に向けた決議」を可決した。その結果,平成13年度末までの特別施策としての同和対策事業終結を表明できるまでに至った。
 21世紀を迎えようとするこの時に,長年にわたる住民の努力と総合的な同和行政の取組の結果,同和地区の住環境や住民の生活実態は大きく改善されてきた。
 よって理事者は,これらのことを踏まえ,この度策定しようとしている京都市基本計画を根拠に同和対策事業を平成14年度以降に継続することのないよう,市民の共感と理解という観点を基本とし,まだ残されている下記の事項について不退転の決意で取り組むべきである。

 本市技能労務職への選考採用については,市長表明どおり,平成14年4月以降は行わないこと。
 隣保館等の地区内の各種施設について,広く市民の利用を進めること。
 地区内の保育所について,地区外からの入所をより一層進めること。
 地区内の改良住宅の空き家実態を整理し,広く地区外からの入居を含めた取組を進めること。併せて,家賃の滞納について,市営住宅と同様に毅然とした対応を行うこと。
 運動団体に対する補助金について,更に見直すこと。
 運動団体の活動にかかわる職免について,早急に廃止すること。

 以上,決議する。


京都の保育水準の拡充を求める決議

 (12.12.14決議)

 新たなる世紀には働く女性が安心して子どもを産み育てられる環境を更に充実させるため,保育園の拡充整備に力点を置いて,保育制度の大きな変革が進行する中,保育ニーズに更にこたえていくことが必要となっている。
 ところが,保育園の定員弾力化などにより入園枠が増えたとはいえ,まだ入園待ちの子どもが多く残されており,待機児童の解消が言われている。一方,定員割れの保育園もあり,その解決が急がれている。
 こうした事態に加え,更に本年4月からの保育園設置認可の規制緩和によって,保育水準や保育の公共性,子どもたちの日常の保育に新たな問題が生じている。
 よって,だれもが安心して子どもを産み育て,子育てに希望を持ち,男女が共同して参画できる社会をつくるために,「プール制」の堅持をはじめ,京都の保育水準を拡充するため,公的責任において安定的な保育施策が行われるよう強く求める。

 以上,決議する。

 


島津製作所五条工場跡地利用計画に関する決議

 (12.12.14決議)

 京都市は,伝統産業から先端産業に至る「ものづくり都市」であるが,近年,既成市街地等における工場の流出や閉鎖によって,工場跡地に大型商業施設が立地するなどの例が見受けられる。
 大型商業施設については,周辺の道路交通や住環境を含め都市構造に与える影響が大きい。立地に当たっては,「良好なまちづくり」の観点から,本市の一層の取組が求められている。
 このような中,標記の計画については,大規模小売店舗立地法制定後,京都市内において初めて「京都市土地利用の調整に係るまちづくりに関する条例」が適用されるケースであり,本市の対応は,市民はいうまでもなく全国関係者の注視の的となっている。
 よって理事者は,島津製作所に対して,本市会において多数の賛成の下に成立した本条例の主旨の十分な理解を促すなど,下記の項目について,厳正な態度で的確に実施することを強く求める。

 今回の計画は,市場原理に基づく経済体制の下での企業活動ではあるが,本条例に規定されているまちづくりの方針に適合した計画となるよう十分協議し,強力な行政指導を行うこと。
 立地に伴い生じることが予想される諸問題についても,必要かつ十分な対策を講じ,住民の理解を得るように努めるよう指導すること。

 以上,決議する。


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